※創業当時(昭和33年頃)の写真です。
素材の味を引き立てる大切な役割の酢は、石川県白山市鶴来町にある「高野酢造」様で醸造されています。鶴来の地で、戦後まもなく米酢に主とした酢造を行い、芝寿し創業から今日までの60年以上、当社にお酢を提供していただいているパートナーです。そんな芝寿しの寿司造りに欠かせない「お酢」について、高野社長へインタビューにお邪魔させていただきました。
高野酢造様が酢を造るのに欠かせないもの、それは「お酒」です。酒造りに使うお米の量は年間で約30t弱となり、この量で約6万ℓものお酒を造ることができます。
まず、お酒を造る時期は12月~2月の寒い季節に酒造りを行う「寒仕込み」の酒造りから始まります。白山水系の水と石川県産のお米、糀と酵母で醸造した酒に、長年継ぎ足しながら受け継がれている「種酢」と呼ばれる酢を加え、昔からある伝統の醗酵法「静置醗酵」という手法を使いながら仕上げていきます。
この「静置醗酵」製法の特徴は、酒に酢酸菌膜を加えてから2~3ヶ月かけてゆっくりと醗酵させていきます。そして、醗酵後は約半年間以上もの時間をかけて熟成させ完成させていきます。
酒造りから始まり、米酢に完成するまで1つの工程で12個のタンクを使用します。この製法工程を4台稼動させ、毎日計48個分のタンクの中の酸度測定を行い、約1~2年の月日をかけて米100%の「純米酢」に仕上げていきます。
『当社の酢が美味しいとお客様に言っていただけることが一番嬉しい』と語る高野社長。お客様の要望には手抜きをせず、また、出来るだけ寄り添って一緒に造り上げたいという気持ちがとても伝わりました。
また、米の産地偽装や汚染米の転売の事件をきっかけに、「お客様には安心に召し上がっていただきたい」という思いから、平成22(2010)年冬季の日本酒の仕込みから、国産米の原料米を全て石川県産米のみに切り替えられました。
そんな高野酢造様は、これまでも、これから先も芝寿しにとってはならない安心・安全のパートナーであります。
さて、芝寿しで使われている酢は、酢飯だけではなく、鮭や鯛などの魚やカニなどの酢漬けにも使用されています。その酢には、まろやかな風味が醸し出されるよう、霊峰白山麓の清らかな伏流水によって、丹精込めて高野酢造様で醸成された当社専用のお酢です。
実は、創業当時はブレンドされていない酢だけを使用し、創業者の梶谷忠司が調合を行っていましたが、笹寿しが瞬く間にヒット商品となり大量生産したころから当社専用のお酢を造っていただいています。
そして、専用の酢は1つだけでなく、それぞれの魚の旨味を最大限に生かすために、配合を変えることによって旨味を存分に引き出すようにブレンドされています。
さらに酢漬けにかかる時間は、細心の注意を払いながら行います。単にマニュアルに沿ったやり方や時間を実践してしまうと酸味が強くなったり、魚の臭みが残ってしまいます。そのため様々な要因を考慮しながら時間を設定することが必要不可欠であり、また、全ての魚が酢飯の味に合うようバランスが保たれています。
そんな当社専用の酢は、いつの時代でもお客様に「いちばん美味しい」と感じていただけるよう、高野酢造様と当社が幾度もの試行錯誤を重ねたうえで生まれてきたのが、こだわりのブレンド酢です。